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恋におちて、それから 2 そんな俺の引退ともう1つ変わったことと言えば。 「今日も行って来たの?」 帰ってきたカカシを2人で出迎えて、今はカカシとが食卓を囲み俺が足元で晩メシにありついている。 「はい、遊びにおいでって忍鳥が来たんですよ。」 「あのじーさん、隠居してからだいぶもてあましてんな。」 が木の葉に戻ってきてからも、変わらず忙しいカカシは 自分が合間になんとか時間を作って、とのイチャイチャタイムを確保しているにもかかわらず 三代目がそれを比較的容易にやってのけることが、案外気に食わなかった。 ・・・というより、自分が任務をこなしている間に老人とはいえ男と会っているのが1番引っかかるんだけどね。 ちぇーオレだってもっとと一緒にいたいのにさ。 それが前面に表に出ていたらしく、 「カカシさん〜〜??そんなこと言っちゃいけませんよ。」 「だぁってさ、三代目がうらやましいじゃない。」 素顔をさらし、子どものように口を尖らせるカカシさんがかわいく思えるのは 自分がどうしたって贔屓目に見てしまうことを差し引いても、女性の大半がそう思うんだろう。 だって、カカシさんはこんなに。 頭の片隅でそう考えていると、机を挟んでいたはずのカカシさんが急に目の前に現れた。 「ちゅーしてくれたらスーグに機嫌も直るんだけどなぁ〜??」 「なっ?!し、しません!!」 こんな時にムダに忍者能力を使わないで欲しい。 と、相変わらずなからかう態度に照れながらもそのまま見上げていると。 「え〜〜〜・・・・じゃ、オレからしちゃお。」 降ってきた唇を目を閉じて受けとめるとちゅ、と可愛い音がなる。 カカシさんは私の気持ちに敏感だ。 少しでもコンプレックスを感じると、表には決してださないけれど全身で愛を伝えてくれる。 なによりも、その瞳の奥が私にじんわりとしたあたたかさをくれる。 そのままカカシの長い腕がの頭に回り、やんわりとその胸におしつけられ もカカシの腰の位置へと腕を回した。 大きく触れ合う部分に、 安心しているのはもカカシも同じだった。 「、大スキだよ。」 「はい、私もです。」 ・・・・どーでもイイけど、俺がいるの完全に忘れてるだろコイツら。 いや、それはだけでカカシにいたってはワザとだなコノヤロウ。 あれか、任務中俺がずっと一緒にいるからか。 完全に2人の世界なカカシとに、不本意ながらもムサシはそっと気配を消して寝床に向かった。 そんなイチャイチャやムサシくんの引退宣言から時は数日さかのぼり、火影様に呼ばれてムサシくんと2人 いつものように簡単な気持ちで、お茶にお呼ばれしに行った日のこと。 「火影を…お辞めになるんですか?!っ、けほッ・・・ぅ。」 「、大丈夫か?」 突然の引退宣言に、は飲んでいたお茶を別の方の気道に入れてしまい思わず咳き込んだ。 三代目はそんなの背中をさすってやりながら、表情は穏やかだった。 「ワシもそろそろいい歳じゃしなぁ、ちょうど季節の変わり目じゃし世代交代にはいいかと思っての。」 三代目がそういい終わる頃には、持ち直した。 改めてゆっくりと質問を重ねた。 「じゃあ、どなたか新しい方が火影様に?」 「あぁ、ワシがなんの心配もなく木の葉の未来を託せるヤツじゃ。」 「どんな方なんですか?」 のその問いに、三代目はニヤリと珍しく笑って勿体ぶるように答えた。 「会ってみればわかる。」 がリアクションをとる前に、ドアの向こうへと声をかけた。 「おーい、入ってよいぞ。」 うえええ??三代目様!!ちょっと、まだ心の準備が!!? 失礼します、という少し高めで伸びのある声に少し遅れてその人は部屋へと入ってきた。 ・・・女性? 壁にある歴代の火影たちから、新しい人も男だとばかり思っていたは何度も瞬きを繰り返した。 すごい・・・木の葉では女の人がトップになれるんだ。 しかも、 ずいぶんと若い。 「アタシが五代目火影の綱手だ、よろしく。こっちは付き人のシズネ。」 紹介されるまま、視線をシズネさんにやると なんともこの場に似つかわしくないと思われるコブタを抱きながらお互いに会釈をした。 「・・・はい、です。よろしくお願い致します。」 「まぁ、立ち話もなんじゃ。これからのこともある、綱手、シズネ座ったらどうじゃ。」 「では、少しの間だけ。」 すばやい身のこなしは、素人のから見ても忍として格があるのだというのが分かるくらいだった。 「あ、私お茶いれてきます。」 咄嗟に立ち上がるを、シズネが止める。 「私がしますので、さんは三代目様と綱手様とお話になっていて下さい。」 笑みは柔らかだが、有無をいわせないオーラに この付き人の方もまた忍としてすごいのだろうなぁ、とは思った。 「、そうかしこまらんでもよいぞ。こう見えて綱手は50すぎのばぁさんじゃからのォ。」 「は・・・ごじゅ?!」 忍者がわりとめちゃくちゃなことは身をもって体験済みだが、 想像をはるかに越えた三代目の突然のカミングアウトに、空いた口が塞がらない。 そして、綱手の額の血管が浮き出ているように見えるのは決して気のせいではないだろう。 「だってこんな綺麗な方が・・・50代??私の母なんてもっと、・・・ええぇ?」 の驚きように、綱手は少しは気分をよくしたらしい。 それからは血管を浮き出すこともなく、始終にこやかにしていた。 今日五代目火影とこうして対面を果たしたのは、 三代目が引退をするにあたっての事情を引き継ぐのが目的であった。 書面で済ますことも出来たが、自分が火影を辞めた後も引き続きにはよくしてやりたいという親心と なによりも、“あの”はたけカカシが生まれて初めて自ら求めた女ということに綱手が非常に関心をもったらしい。 「お前はカカシのどこに惚れたんだい?」 「ぇ、はい?!」 なんだか今日は驚いてばっかだな。 「え、えっと・・・。」 はっきりとした答えはあるし、これがアスマさんとか紅さんになら少しくらい照れながらでも言える気がするけど。 今、この状況でそれを言うにはただの素人のにはあまりにも困難すぎた。 火影室の隣にある休憩場所で現火影と次期火影を前に、 自分が惚れた相手を語るのはどこか間が抜けてはいないだろうか。 それきり言葉を告げずにいると、足元に控えていた彼が助け船を出してくれた。 「五代目様、あまりこいつを追い詰めないでやってくれますかね。」 「おや、お前はたしか。」 「今は主よりの側にいるように、と。お久しぶりです、綱手姫。」 「へぇ、こりゃ相当だね。」 自分が大切にしている忍犬を側に置くとは、思った以上の入れ込み用らしい。 「あのカカシも人の子だったんだねぇ。」 「まぁ、追々わかりますよ。ねぇ、三代目?」 ムサシが意地悪気に三代目を見ると、少々あきれた様子で答えた。 「あぁ、がからむとヤツは人が変わるからのぅ。」 そ、そうなんだ・・・とが他人事のように驚くのもつかの間。 その後は、これまでの経緯はあらかた話が通っているらしく二・三質問をされただけで簡単に面談は終わった。 「これから、なにかとこちらも世話になると思うからよろしく頼む。」 別れ際私は、恐れ多くも五代目火影になられる綱手様に握手を求められた。 戸惑いながらも、ゆっくりとした動作でそれに応じると案外小ぶりな女性らしい手のひらに驚いた。 「それに・・・には色々と興味があるからね。」 まっすぐに見つめられて、綺麗な人にニヤリと笑いながらそんなこと言われたら誰だってドキドキすると思う。 ・・・なんだか五代目様は違う意味でもドキドキするけど。 こうして思わぬ計らいで次期火影との対面を果たし、未だ早く打つ心臓をそのままに その場を下がったは足元のムサシと、少し遠回りをしながら帰った。 「緊張したか?」 「そりゃあ、するよ!!突然だったし、綺麗な人だし、・・・直球だし、っていうか初代火影様のお孫さんなんでしょう? そんな方に会ったら誰だってびっくりするよ。」 息をきらせながら説明するに、クスクスと笑いながらもムサシは言葉を続ける。 「まぁ、でもよかったじゃないか。これで代が変わってもは木の葉の人間だ。」 少しずつ、木の葉の里での自分の存在に違和感をなくしていく日々に。 新しくなっていく木の葉に、少しの期待と不安を抱きながら。 「うん。」 だけど、変わらない確かなものがあるから私でいられるんだろうな。 そうそう後からカカシさんとムサシくんに聞いたことなんだけど、綱手様は気に入った人ほどいじりたおす癖があるらしい。 (酒の席には呼ばれても絶対に無視するように、と約束もさせられた。) でも、面倒見がいい姉御肌で筋が通った気持ちのいい人だとも。 こうして、三代目様とムサシくんが忍の前線から退いた。 穏やかに、日々が流れ行く中で 私が忘れていたコト。 カカシさんが忘れようとしているコト。 もうすぐで、私が木の葉に来てから1年が経とうとしている。 そしてそれは、塞がりかけたころにやってくる。 まるでカカシさんの心をえぐるように。 ねぇ、夢の中のあなたはだあれ? とりあえず、短いですが今回はこれで完結です。 ムサシと三代目が引退したんだよーってのが、 これからのお話の前にちゃんと宣言しとくべきかなぁ、と思いまして。 (本当は出すつもりの無かった綱手様まできちゃったゼwwやほーい) 次回はつらつらと何話にもなりそうな予感。 ですが、次からが本格的に続編として書きたかったことのうちの1つですので 気合い入れていきたいと思います! |